前回と前々回は、金駒で玉を追いかけてサーキットを周回する作品を見た。
今回紹介する作品も銀で玉を追いかけるのだが、一方通行のサーキットを周回するのではなく、用意されたレーンを往復する。
まず79金、59玉、69金、49玉、59金、同玉としたら、主役の銀にバトンタッチ。以下の手順で玉を95まで運ぶ:
48銀、68玉、59銀、79玉、
68銀、88玉、79銀、97玉、
88銀、86玉、97銀、95玉(下図)
もし上図で攻方に持駒がなければ、86銀、同桂で攻方玉は詰み。だから持駒の歩を消去しようという話になるわけだ。
上図から96銀、86玉、95銀、97玉と折り返す。銀の利きを活かした巧妙な手順。
さらに以下の手順でジグザグ玉を追う:
86銀、88玉、97銀、79玉、
88銀、68玉、79銀、59玉、
68銀、48玉、59銀、39玉、
48銀、28玉、39銀、19玉(下図)
最後の19玉で攻方の桂を取った。この桂は邪魔駒。18玉の形で19歩と打ち捨てたいのだ。
最初に邪魔駒の桂を消去するのは前回紹介したやよい作と同じ構成。定番の序の付け方と言ってもよいかもしれない。
上図から28銀、18玉と進めるが、ここで19歩を打っても同玉とはできない。19銀、29玉、18銀、28玉、29銀、39玉と折り返し、以下の通りジグザグ追って仕切り直す:
28銀、48玉、39銀、59玉、
48銀、68玉、59銀、79玉、
68銀、88玉、79銀、97玉、
88銀、86玉、97銀、95玉、
96銀、86玉、95銀、97玉、
86銀、88玉、97銀、79玉、
88銀、68玉、79銀、59玉、
68銀、48玉、59銀、39玉、
48銀、28玉、39銀、18玉(下図)
上図で19歩、同玉として1歩捨てる。一度に1歩しか捨てられないが、銀で玉を追って上図と同じ盤面に戻ってくればよい。最後の1歩を打ち捨てたら95まで玉を追い、「86銀、同桂」で詰みとなる。
1往復につき1歩を捨てる作品。
繰り返し手順で受方玉が通ったマスを赤く塗ると下図のようになる。
縦に2マス以上並ぶ赤マスは18・19しかないので、19でしか歩を打ち捨てられないことが分かる。
初形ですべての駒が使用されている。盤上に無駄な駒はなく、ぎりぎりの配置だと思う。