持駒の歩を大量消費する協力自玉詰(3)

2024年12月8日

攻方の歩打に同玉と応じるパターンを考えている。
前回は、玉を金でぐるっと追い回し、1周につき1歩捨てる作品を見た。

今回はで追い回す作品。

やよい/WFP 2015年12月協力自玉詰 424手123456789持駒 歩18

歩以外のすべての駒が盤上に配置されている。27銀で玉を追うしかない。
38銀、58玉、49銀、67玉、
58銀、56玉、67銀、45玉、
56銀、34玉、45銀、25玉、
34銀、16玉、25銀、27玉、
16銀、38玉、27銀、49玉
と進んで下図。

20手目 49玉123456789持駒 歩18

14手目の16玉で桂を取っている。初形と上図を比較すると、16桂が消去されただけだ。
もう1周しよう。しかし今度は34銀に16玉ではなく15玉とする。

34手目 15玉123456789持駒 歩18

上図で「16歩、同玉」として歩を捨てることができる。もし攻方16桂がある段階で15玉としていたら、桂が邪魔で16歩が打てなかった。
「16歩、同玉」とした後は、またぐるっと追いかけて34銀・15玉の形にすれば、また16歩と打ち捨てることができる。1周につき1歩を捨てるわけだ。

あとは収束。

408手目 15玉123456789持駒 歩

上図で「16歩、同玉」として最後の1歩を捨てたら、そのまま56玉まで追いかけて67銀、同龍で詰みとなる。

詰上図123456789持駒 なし

上図でもし攻方に持駒があれば、77合ができるため詰んでいない。だから持駒の歩をすべて捨てたわけだ。

本作は前回見た佐々木作の銀バージョンであるが、本質的な改良を含んでいる
佐々木作の場合、1筋や6筋で歩を打ち捨てることができないように14歩と63歩を置かざるを得なかった。

一方、やよい作の周回ルートは斜めの軌道なので、佐々木作の「14歩」「63歩」のような配置が不要になっている。

歩を一切使わずに周回ルートを用意できているので、持駒の歩を18枚にできている。これは大きなポイントだろう。収束用のルートを別途用意しないで済んでおり、舞台の簡素化に成功している。


次回以降も「歩打、同玉、(F)……」のタイプの作品を紹介する。