攻方の歩打に同玉と応じるパターンを考えている。
前回は、玉を金でぐるっと追い回し、1周につき1歩捨てる作品を見た。
今回は銀で追い回す作品。
歩以外のすべての駒が盤上に配置されている。27銀で玉を追うしかない。
38銀、58玉、49銀、67玉、
58銀、56玉、67銀、45玉、
56銀、34玉、45銀、25玉、
34銀、16玉、25銀、27玉、
16銀、38玉、27銀、49玉
と進んで下図。
14手目の16玉で桂を取っている。初形と上図を比較すると、16桂が消去されただけだ。
もう1周しよう。しかし今度は34銀に16玉ではなく15玉とする。
上図で「16歩、同玉」として歩を捨てることができる。もし攻方16桂がある段階で15玉としていたら、桂が邪魔で16歩が打てなかった。
「16歩、同玉」とした後は、またぐるっと追いかけて34銀・15玉の形にすれば、また16歩と打ち捨てることができる。1周につき1歩を捨てるわけだ。
あとは収束。
上図で「16歩、同玉」として最後の1歩を捨てたら、そのまま56玉まで追いかけて67銀、同龍で詰みとなる。
上図でもし攻方に持駒があれば、77合ができるため詰んでいない。だから持駒の歩をすべて捨てたわけだ。
本作は前回見た佐々木作の銀バージョンであるが、本質的な改良を含んでいる。
佐々木作の場合、1筋や6筋で歩を打ち捨てることができないように14歩と63歩を置かざるを得なかった。
一方、やよい作の周回ルートは斜めの軌道なので、佐々木作の「14歩」「63歩」のような配置が不要になっている。
歩を一切使わずに周回ルートを用意できているので、持駒の歩を18枚にできている。これは大きなポイントだろう。収束用のルートを別途用意しないで済んでおり、舞台の簡素化に成功している。
次回以降も「歩打、同玉、(F)……」のタイプの作品を紹介する。