まずは具体例を見ていただいた方が早いだろう。
協力自玉詰なので、受方玉に王手を掛けつつ14の攻方玉を詰ます。
例えば初手から13歩、21玉、12歩成、同香(下図)とすれば、攻方玉に王手が掛かる。
では上図で攻方玉は詰んでいるかというと、13歩と打って王手を解除できるため詰んでいない。もし上図で攻方の持駒がなければ、合駒ができずに詰みである。
そこで、攻方の持駒をすべて捨てておこうという話になる。
初形に戻り、「13歩、21玉、12歩成、同玉」とすれば4手で1枚の歩を捨てることができる。初形と4手後の局面を比べてみると、持駒の歩が1枚減っただけで盤面の配置は同じだ。
盤面の配置が同じなので、「13歩、21玉、12歩成、同玉」の4手を繰り返すことができる。持駒の歩が1枚になるまで繰り返し、最後の歩を使って「13歩、21玉、12歩成、同香」とすれば、無事に攻方玉が詰む。
ちなみに受方32香の配置は余詰消し。32香がない場合、初手から
13歩、21玉、12歩成、32玉、
33歩、同玉、34歩、42玉、
33歩成、41玉、42歩、31玉、
22と上(下図)
として香を奪うことができる。
香があれば合駒を取れるようになるので色々な筋で余詰む。
この連載では、攻方が持駒の歩をたくさん捨てる協力自玉詰を紹介する。
次回以降、まずは本作のように受方玉が歩を取るパターンを見ていこう。